梨木香歩さんの新刊

私の好きな作家のひとりに、梨木香歩さんがいます。
じゃじゃの図書館で『雪と珊瑚と』を見つけて読みましたら、まだ読んでいない本が他にもあるのでは、と、検索し、今年出たものが2冊あったので、読みました。

『物語のものがたり』(岩波書店)

梨木さんが今まで書かれた児童文学関係の書評や解説をまとめたものです。
多くのページを占めるのは「秘密の花園」ノートで、これは以前ブックレットとして出版されていて、私はそれを持っています。
大好きな「秘密の花園」のことを、大好きな梨木さんが書いたということで、これは手に入れなければ!と。

梨木さんは植物にも、樹木にも、鳥にもお詳しいので、ジブリのアリエッティのアニメについて書かれたところは、冒頭の庭の部分を梨木さんの視点で見ていて、なるほど、そういうふうに見ることができるのか、と、自分の分析の浅さをはじました。

アリエッティの原作はイギリスの児童文学で、好きは好きでしたが、どうもひっかかるところがあってのめりこめないお話でした。
借り暮らし、と言って、人間の家から物を”借りて”自分たちの暮らしに役立てているんですが、借りる、と言いながら、返してないじゃん、というのが大きかったと思います。
英語ではborrow、返すことを前提に一時的に借りるという意味です。
アリエッティは泥棒じゃない!と言い張りますが、でも、返してないから・・・と私は思ったわけです。

また、私の好きな「木かげの家の小人たち」についても書いておられたのがうれしかった。

赤毛のアン」については、『こんにちはアン』の解説として書かれたものでした。私、この本を持っていて、解説も読んでいるのに、全然覚えていなかった。記憶力が、やはり、年齢とともに落ちているようです・・・。

不思議の国のアリス」については短いエッセイを書かれているのですが、実は素直に好きとはいえない作品だ、と書いておられて、ただ、なぜか、ものすごく、気になる、とも書かれていて、私はそれがよくわかりました。
私も正直言うとそうだから。たぶん、多くの人が同じじゃないかと私はひそかに思っているのですが。

『草木鳥鳥文様』(福音館書店)

作家・梨木香歩による四季の野鳥と植物をめぐるエッセイ集。梨木が綴った鳥と草木の姿を画家・ユカワアツコが古い抽斗の中に描く。その抽斗を写真家・長島有里枝が街に連れ出し、撮影した。言葉、絵、写真が織りなす三重奏。暮らしに身近な自然が輝き出す。(紹介文より)

三人によるコラボ。これは新しいスタイルというか、素敵すぎる!!!
出てくる鳥も植物や樹木も、知らない名前のものが多く、画像検索して確かめてしまいました。

今まで何気なく見ていただけの植物、名前は知らないけど存在は知っていて、子どもの頃お世話になった樹木。

コウホネ
ウラジロモミ
サラサドウダン
ジュズダマ
サワグルミ

どれも知らない・・・でも検索してみると、あ、これは見たことがある、というか、身近にあるものばかりでした。それに気づくか、気づかないか。
そうした植物や木と、鳥を結び付ける。植物よりも、さらに、鳥の名前は知らない自分。

もっと、周りの自然を見つめ、親しくならないとだめですね。

ドロノキの文章で、まるで優雅な吹雪のように、ふわふわと、そこらあたりが真っ白になる、という描写があった。日本で、私はそれを体験したことがないが、カナダのプリンス・エドワード島で体験したことを思い出しました。

『赤毛のアン』の作者モンゴメリが育った祖父母の屋敷跡です。モンゴメリはここで『赤毛のアン』を執筆しました。
跡、なので、家は残っておらず、ぽっかりと空いた空間を木々が守るように茂っており、モンゴメリがこの場所を愛したことを、何もないからこそより体や空気で感じることができるので、私はこの場所が大好きです。

何度となくここを訪れているが、その時はおそらく初夏あたりだったと思いますが、風に吹かれて、その空間に白い綿毛がふわ~~~っと舞い、太陽の光で綿毛が輝き、なんとも言葉にはできない神々しく、静かでこの世のものとは思えない世界になったのです。
観光客は誰もおらず、私は一人でその場にいて、泣きたくなるほどの感動を覚えたのでした。

これがその時の写真ですが・・・・わかりづらいですよね・・・。

グリーン・ゲイブルズへ向かうおばけの森の小道でも、その綿毛はふわふわと青空に向かって飛び立っていきました。
こっちの写真なら、ふわふわ漂っているのが少しはわかるでしょうか。

綿毛を放つその木の名前が結局わからずじまいだったのですが、梨木さんの描写から、もしかしてあの木では、と思い、検索してみると、ポプラの種類だということがわかりました。
ポプラというのは、ヤナギ科ヤマナラシ属Populusの総称だそうです。世界に約100種あり、おもに北半球に分布するとか。

そして、ドロノキはアジアに分布するというので、カナダに分布するものを検索すると、ナミキドロ(アメリカクロヤマナラシ、ヒロハヤマナラシとも) P. deltoidesが出てきました。ナミキドロは、カナダの切手になったこともあるので、おそらくこれかなと思います。

ナミキドロは枝の広がる落葉高木で、ポプラというと私たちが思い浮かべるのはほうき状にまっすぐ伸びるポプラですよね。それは同じヤマナラシ属でも、セイヨウハコヤナギだそうです。

このセイヨウハコヤナギの種類の中に、ロンバルディ・ポプラ(イタリアヤマナラシ)があるのを見つけました。
このロンバルディ・ポプラは、『赤毛のアン』に出てくる木。アンが住むグリーン・ゲイブルズに威風堂々としたこの木が立っていると描写されています。

17世紀に北イタリアのロンバルディで選抜されたものが、海外へ持ち込まれたようで、それでイタリアヤマナラシとも呼ばれるんですね。背が高く細い樹冠の形から、鑑賞樹として植栽されたようです。

確か、解説付き『赤毛のアン』では、プリンス・エドワード島にはほとんど見かけないと書いてあった気がします。すっとした姿を、象徴としてモンゴメリは描いたのかもしれません。

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