吉田博展@静岡市

前回に続き、静岡市の美術館巡りです。
午後は、静岡市美術館へ行きました。いつもように、駅から徒歩10分くらいのところの駐車場に車を停めます。
梅雨が明けて猛暑が続く静岡。この日も暑くて、歩いて10分の距離もつらいです((+_+))

目的の展覧会は没後70年 吉田博展』。

テレビCMを見るまで、恥ずかしいことに、吉田博のことは知りませんでした。
CMではダイアナ元妃も愛した(ダイアナの執務室の壁に吉田の絵が飾ってあった)・・・と宣伝していましたが、私が惹かれたのはその版画の美しさ。私は銅版画や木版画といった、版画が好きなんです。

吉田博(1876~1950年)の人生を知って驚いたのは、その心意気
当時人気のあった黒田清輝ひきいる白馬会にまっこうから挑み、自分の求める絵を追求。
黒田らが目指したフランスではなく、アメリカで名を馳せる!と、1899年にアメリカへ渡ります。友人と二人で描きためた自分たちの絵を持っていき、販売して渡米資金をまかなったのだとか。二人の絵は大評判になりました。ロンドンやパリなどヨーロッパ各地をめぐり1901年に帰国。
2年間の海外生活は吉田にとってかけがえのない経験だったことでしょう。このチャレンジ精神、あっぱれです!こういう行動力のある人、好きです。

版画を始めたのは、40歳を過ぎてからだとか。登山家だった吉田は、描く風景もさすが登山家、という視点で描かれています。
登山だけでなく、世界各地を自分で旅して、その風景を版画にしています。旅行のスケッチブックも展示されていましたが、やっぱり巨匠のスケッチって、もうそれ自体が作品だなと思いました。

版画は、一人ではできなくて、原画を版に彫る彫師、それに色をつけて紙に摺る摺師がいて、吉田はその人たちと一緒に作業したそうです。注文も多くて、大変な作業だったらしいですが。
通常の摺り色数の、3倍以上の摺りを重ねて仕上がる絵は、版画とは思えない深い色彩と情緒を醸し出してます。

吉田の版画は日本では有名ではありませんが、海外では当時からとても人気だったそうで、ダイアナ元妃、フロイトも購入したとか。

一つの版木を、摺色を替えることで、朝、昼、夜と、刻々と変化する光や空気を表現したシリーズ作も見事でした。並べて飾ってあると、その変遷がより伝わってきて、ずっと見入ってしまいます。

日本も、海外も知っている吉田は、世界に通用するオリジナルの絵を目指しました。西洋かぶれではなく、日本人の自分が描く自分にしかできない絵。
吉田の版画は、古い浮世絵(吉田はいつまでも浮世絵に固執していてはいけないと思っていたそう)の技法に、新しい、近代的な美意識を追求していきついた独特の木版画なんですね。

おだやかにほほ笑む吉田の写真からは想像できない情熱と誇り、妥協しない努力を感じ、私の心も熱くなりました。すばらしい画家と出会えて感謝です。

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